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2025/10/16 18:54


一見、双子のように並ぶこの二頭。
しかし、よく見るとそのバランスは微妙に崩れている。
それが、この株の最大の魅力です。



マルチヘッドとは

「マルチヘッド」とは、ひとつの根や基部から複数の頭部が形成された個体を指します。
つまり、1本の植物が分岐し、二頭、三頭、あるいはそれ以上の頭をもつもの。
自然界では稀にしか起こらない現象であり、遺伝的要因によって突然変異的に現れる造形です。




捻れ(ねじれ)とは


オベサの捻じれ いつも通り観察してみるとオベサ特有の「白い液」を垂れ流している、またはにじみ出ていた。
このような経験ありませんか? 
どこかにブツけたわけでもなく。
これは自ら体を捻じれさせ、それに耐えきれなくなった結果、捻じれの裂け目から白い液を垂らす。
この捻じれが日々繰り返すことで、稜の上下がどんどんズレていき、数年かけて今回ご紹介する捻じれオベサが生まれます。
これが【捻じれ】です。



「アシンメトリー」だから美しい


一般的なマルチヘッドは、左右ほぼ対称に生長します。
しかし、この株は異なります。
両方の頭部がそれぞれ異なる方向へわずかに捻れ、非対称に傾くことで、
見る者に「有機的な調和」を感じさせる造形となっています。

この“歪み”こそ、自然が描く至高のデザイン。
機械的な完璧さではなく、生命の偶然が作り出した一瞬のバランス。



なぜ珍しいのか

マルチヘッド自体がまず希少。
さらに両頭に捻れが見られる個体は極めて少なく、
その中でも両方が異方向に捻れながらもバランスを保つ株は、
コレクターの間でもほとんど出会うことがありません。

光の下でゆっくりと角度を変えながら眺めていると、
まるで二つの命が寄り添っているかのようです。

植物の“形”には、育った時間と環境が刻まれています。
このオベサは、対称ではなく、完璧でもない。
それゆえに唯一無二の存在です。

「捻れが加わった異形ダブル」
その言葉の通り、
整いすぎない造形美が、空間の静寂をより深くしてくれます。