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2025/10/30 11:38




成長点付近で起きたモンスト化の変異



この株は、成長点付近の稜がモンスト化(異常成長)した個体です。
通常であれば均等に分布する稜が、この株では中心部で歪み、ねじれながら融合しています。



その結果、上部の輪郭がわずかに不整形になり、立体的なうねりを見せています。
この変化は一見すると小さなものですが、構造的には通常のオベサとは明確に異なります。
頂部の形がやや押しつぶされたように広がるのは、モンスト化による稜の分化の痕跡です。


此株在生長點附近出現稜線異常(monstrose)現象。
原本筆直的稜在中心部位開始扭曲、融合,形成微妙的波紋與不規則的頂部輪廓。
雖然變化細微,但結構上已明顯不同於一般布紋球。




木質化が広がる表面と自然なグラデーション



下部から中部にかけては木質化が進み、表面の大部分が褐色の乾いた質感に変化しています。
この木質化は単なる老化ではなく、時間の蓄積を示す層のようなものです。
上部の青緑から下部の茶褐色へと続く自然な色のグラデーションが美しく、表面はまるで古い樹皮のように、乾燥と深みを併せ持っています。
光の角度によって見え方が変わり、滑らかな面に微細な陰影が浮かび上がります。
全体として、木質化とモンスト化が同時に存在することによって、通常のオベサには見られない“静かな異形”が生まれています。


下半部的木質化範圍極廣,表面呈現乾燥的褐色質地,從上方的青綠色漸層到下方的褐色,如老木般自然又深沉。
光線照射時可見細緻的陰影,展現時間與質感的厚度。




角を失ったフォルムと雌株としての成熟



稜の角がほとんどなく、全体が丸く磨かれたようなフォルムをしています。
この滑らかさは、稜の構造が緩やかに溶け合った結果生まれたものです。
中央の成長点には赤みを帯びた小さな花芽が見られ、メス株であることがわかります。
花芽自体は珍しいものではありませんが、このような木質化が強く進んだ株に花が上がる姿は、成熟個体ならではの味わいです。
柔らかく、落ち着いた存在感の中に、確かな生命力を感じさせる一株です。


此株的稜角幾乎完全消失,整體圓潤而光滑,頂部可見紅色的花芽,顯示其為母株。
花芽雖不罕見,但在這樣的成熟個體上開花,更顯得沈靜而有力。




形の欠落がつくる造形の安定



この個体の魅力は「何かを失うことによって美しさが生まれる」という点にあります。
稜の角が消え、線のシャープさが失われることで、逆に球体としての重心が安定しています。
下部の木質化部分が鉢にしっかりと沈み込み、全体を支えるような姿勢がどこか彫刻的でもあります。
構造的な欠落が、静謐で安定した造形美へと転化しているのです。

稜線的消失反而讓造型更穩定,下部木質化部分如根基般支撐整體。
這是一株在缺失中展現完整、在靜態中呈現生命力的布紋球。

※鉢はスタイリスト私物